観覧車は 家族連れや 恋人たちが 並んでいたけど。

そんなに 待つこともなく 私達は ゴンドラに入る。


徐々に ゴンドラが 昇っていくと

どんどん 視界が 開けてくる。


「わぁ 海 近い! 繁華街のすぐそばに 海があるなんて。信じられない。」

「沙耶香の実家 千葉だっけ? 海 近いの?」

「ううん。川は近いけど。海までは 結構遠いよ。それに ウチの方は 海の近くが 工業地帯だから。全然 景色が違う。」


「高校生の頃 海 行かなかった? 彼氏のバイクに乗って。」

「行かないよ~。確かに そういう子も いたけどね。」


「沙耶香は どんな子だったの? 高校生の頃… 」

「地味で 人見知り。」


「プッ。今と 変わらないね。」

「じゃぁ毅彦さんは? 高校生の頃 どんな子だったの?」


「俺は 目立たなくて、存在感がない子。」

「フフフっ。毅彦さんも あんまり 変わってないの?」


「人の本質って そんなに 変わらないよね?」


私達は ずっと 地味で 目立たなく 生きていく。


学生時代から ずっと…


宿題は ちゃんとやって、校則も 守って。


それなのに どうして こんな 大それたことを してしまったんだろう…



不倫なんて 私達には 似合わない。