「沙耶香。土曜日は 出かけようか?」

「えっ? いいの?」

「うん。クリスマスが 近いから。横浜でも行こうよ。」

「嬉しい… おうちは 大丈夫?」

「仕事って言うから。一日 ゆっくりしよう。」

「ありがとう。」


家庭のある人と 付き合うのなら

イベントを 望んじゃいけない。


クリスマスも お正月も 誕生日も…


だから 私は 毅彦に 催促しなかったけど。

毅彦が 考えていてくれたことが 嬉しくて。


「俺こそ ごめんな。どこにも 連れて行けなくて。」

「ううん。こうして 会ってくれるじゃない。」


私は 完璧な 不倫相手だと思う。


自分からは 絶対に 連絡しないし。

外で会いたいとも 言わない。


毅彦が 忙しい時は 会えなくても 我慢できるし。


毅彦にとっては 最高に 都合がいい女。


それでいいと 思っていた…


だから 毅彦から クリスマスって言われて。

私は すごく嬉しかった。


毅彦も 気にしてくれている…


たった それだけのことで 私は 報われてしまう。