ガラガラ
「あら、七瀬さん起きたの?具合どう?」
ドアを開けて入ってきたのは、保健のおばちゃん先生。
「大丈夫です、お騒がせしました」
「せんせー、七瀬大丈夫みたいだから俺が送ってきまーす」
「え!?」
「あら、大丈夫なの?」
「通り道だから、ついでなんでいーっすよ」
「そう、もう暗くなってきてるから気をつけてね」
「はーい」
「いや、あの、私1人で帰れ……」
「帰れます」って言い切る前に、手首をガシっと掴まれて。
私のカバンを持った先輩が、歩き出す。
「先生も気をつけて帰ってくださーい。さよーならー」
「はーい、さようなら」
先生に言う挨拶かって挨拶をしたあと、先輩はスタスタ歩いて保健室を出た。
6時を過ぎた静かな廊下を、手首を掴まれたまま私も歩く。
なんか……なに、これ。
「まだ熱いじゃん」
「え?」
「手」


