「じゃあ9時まで1人ってことか」
「あの、でも大丈夫です。具合、大分良くなったから1人で帰れます」
帰らなきゃって、ベッドから起き上がって靴を履く。
「家、遠いの?」
「そんなに遠くないです、B区なんで」
「じゃあ俺んちからもそんな遠くないんだ」
「そうなんですか?」
「うん、俺B区通り過ぎたとこ。通り道だわ」
「………」
イスをクルクル回転しながら、瞬先輩が回ってる。
先輩をいつまでも付き合わせてたら申し訳ないし、帰らなきゃ。
「こんな時間までごめんなさい、もう帰ります」
「先生に送ってもらう?」
「大丈夫です、熱は下がった気がするし」
「あー、俺、さっき無理矢理薬飲ませたから」
「え」
「寝てるとこ申し訳ないけど、超無理矢理飲ませといた」
「……。」
「飲ませといた」って笑いながら、クルクル回るイスは止まった。
なんか……思いっきり寝顔見られたかと思うと、急に恥ずかしい。
やだな、口とか開いてたらどうしよう。


