「…んー……ゲホッ、…」
喉が痒くて咳をしながら目が覚めた。
まだ開きたがらない重い瞼が、半分ぐらい静かに開く。
「………」
ここ、どこ。
見たことあるけど、どこだっけ。
頭がまだ、ボーっとして……
ここ、学校……学校の、…そうだ、保健室。
「ゴホッゴホッ、…」
寝返りと共に、動いた視線。
その先に見えたのは、誰かの背中。
グレーの、カーディガン……
「あっ、起きた?」
回転式の丸いイスがクルンって回って、グレーの背中がこっちを見た。
そうだ、この色。
瞬先輩のカーディガンだ……
「七瀬?」
「……っ……あの、ごめんなさい……」
「え?」


