教室の隅で膝を抱えて泣いていたら、物音が聞こえて顔が上がった。
ドアのところに立つ直人くんが、私を見つけて近づいてくる。
「美香ー、チトセ見なかった?めぐちゃんと一緒にいると思って来たのに、誰もいねぇじゃん」
「っ……」
「バスケしようって言ってきたのあいつなのに、どこ行ったんだっつーの」
「、…」
「つーか美香、なんでこんな隅っこで泣いてんの。パンツ見えるよ?」
笑いながら、直人くんが私の前にしゃがみ込んだ。
直人くんの茶色い髪の毛が窓から流れてきた風に乗って、目の前でゆらゆら揺れている。
「…、……直人、くん、」
「うん?」
ねぇ、どうしよう直人くん……
「……私、…嫌われちゃう、…」
「……」
「……このままじゃ私、…、…瞬先輩に、嫌われちゃうよ…」


