さっきまで、機械の音しか聞こえないこの部屋が、息苦しかったのに。
なのに。
今は……機械の音で瞬先輩の声を消してほしい。
章くんとの恋を応援しているみたいな声を、
全部消してほしい……
「………」
違う。
本当に消してほしいのは、章くんとの恋を応援している声じゃない。
本当に消してほしいのは……
「……私なんか、いなくてもいいってことですか」
「え?」
「生徒会に……いてもいなくても変わらないって、ことですか」
私なんかが討論会に出席したって、きっとなにも変わらない。
そんなの、わかってるけど……
私1人の存在で、なにかが変わるわけないってわかってるけど……
でも……頑張ろうって、踏ん張ろうって、思ったばかりだったのに。
「別にそんな意味で言ったんじゃ──」
「頑張ります、から」
「………」
「みんなの足、引っ張らないように、……頑張りますから」
いなくてもいいなんて、思われたくない。
必要だって。
いてほしいって……
瞬先輩に、思われたい。
「七瀬、」
ダメだ、泣きそう……
「生徒会室、戻ってます」
「え、ちょ、七瀬っ」
印刷し終えた分の用紙を抱えて、逃げるようにコピー室を出た。
だってここにいたら、きっと泣いちゃう。
色んな意味で、泣いちゃうよ……


