「にっしーが生徒会にいてくれてよかったな」
「そんなの私だって同じだよ、七瀬さんがいてくれて──」
「え、やだ、苗字で呼ばないでよ」
「じゃあ、美香?」
「うん、呼び捨てで!」
グンっと距離が縮まった気がするのは、気のせいじゃない。
いくらかっこいい会長がいたって、いくら真面目なごっつ先輩がいたって、いくら面白い洋平先輩がいたって、
心を許せる女友達がいなきゃ、やっぱりしんどいから。
笑い合える友達がいるだけで、心の中だって変わってくる。
「なんか私、生徒会楽しくなってきた!」
「うん、私も!」
「一緒に頑張ろうね、にっしー!」
女子2人、生まれた友情に喜び合っていると───
「あー、まじでイズミン人使い荒ぇ!」
「……教師の恥だね」
2人だけだった空間に入ってきたのは、数枚のプリントを持った瞬先輩とごっつ先輩だ。
ぶつぶつ文句を言いながら、ぐったり疲れた様子でイスに座った。
「どうしたんですか?」
「も、俺らイズミンの下僕かっつー話!」
「下僕……」
「楽しそうなイズミンの顔、思い出しただけで腹立たしいよ……」
文句を言い続ける2人の先輩が、どんな目に遭ったのかはよくわからないけど。
あのイズミンのことだから、相当な目に遭ったのは想像できる。
だからにっしーと2人、顔を見合わせてまた苦笑い。


