「つーか七瀬はどうなの?好きな奴と」
「……好きな人、いません」
「だってこの間、相合傘。好きなのってあの男子でしょ?雨の日一緒に帰ってった」
「章くんはただの友達です」
「ふーん?」
私はまだ知らない。
まだ、わからない。
章くんの気持ちも、瞬先輩の気持ちも。
止められない恋が、どんなものなのかを……
「あの、私も購買行ってきます……」
お財布をカバンから出して、生徒会室を出た。
なにも考えないように、廊下を歩く。
早歩きで、走るように歩き続ける。
次第にスピードを落として立ち止まったのは、購買へ向かう階段の踊り場。
「っ……」
どうしてか泣きそうになった。
どうしてか胸が痛かった。
どうしてか……
瞬先輩のことを考えると、胸が苦しくなる。
苦しくて、
泣きそうになる……
「ねぇちょっと」
「……?」


