「あっれ、瞬ちゃん珍しいじゃん。あっちに大ちゃんたちいるよ?」
「だってあっち空いてる席ねんだもん」
座ってすぐ、「いっただっきまーす」って声をあげて、先輩は蕎麦をすすりだす。
「……」
先輩の向こうに、見えるから。
向こうに、彼女の存在が見えるから……
色んな意味で、前を向きにくい。
「うぎゃ!春田先輩だ!」
カレーを持って彼氏のチトセくんと戻ってきためぐちゃんが、瞬先輩を見つけて興奮気味の声を出す。
「お邪魔してまーす」
「ど、どうぞごゆっくり!」
「はは、どうもー」
めぐちゃんは私の隣に座る。
チトセくんが直人くんの正面に座ったから、男子2人は昨日の体育の話で盛り上がっている。
直人くん、瞬先輩と話してあげないと先輩誰も話し相手いないじゃんって……ハラハラしたけど。
さすがモテ男子。
誰とでも、気軽に話せる才能を持ち合わせているようで。


