「今はまだ学生だから、明日明後日ってわけにはいかないけど。無事教師になったら、すぐにでも」

「、…」



顔が見えなくてもいいって、さっきまで思ってたのに。


やっぱり見たくなって、先輩の体から抜け出してみるけど、

視界がすっかりぼやけていて、顔なんて全然見えない。



「美香、あの時の約束覚えてる?」

「約束…」

「『好きじゃなくなっても、いなくならないで』ってやつ」

「あ……」



───“ずっと、一生、……私のこと、好きじゃなくなっても”

───“…、お母さんみたいに、、…お父さんみたいに、ッ、…いなくならないでください”

───“七瀬がばーちゃんになったとき、俺はちゃんと傍にいて、一生一緒にいるってこと、証明してみせるから。本気で約束するから”




「あれ、やっぱ変更」

「…変更?」

「ちゃんと好きなまま、一生傍にいる」

「、…」



涙がポタっと零れて、鮮明になった視界に先輩が映った。


優しく笑う先輩が、今日も私の視界に映り続けている……



「美香がばーちゃんになったとき、俺はちゃんと傍にいて、一生一緒にいるってこと、ちゃんと証明してみせるから」

「、…」

「だから美香」




涙で濡れる私の顔を覗いて、先輩が言う。





「俺と結婚してください」