「もちろん負い目はありました。でも今はそれより、応援してるというか」
「え、応援?なにそれ」
「章くん、夢があるんです。20代のうちに自分のお店を持つっていう、夢」
「店……って、洋食の?」
先輩の声に、頷き返す。
「学校を辞めて料理人の仕事に出会えたからこそ見つけた夢で、もし高校に通い続けていたら、こんなに夢中になれる仕事には絶対出会えなかったって」
「……」
「おかしな話ですけど、今は逆に感謝してくれているんです」
その話を聞いて、先輩は丸い目を一層丸くした。
「は、え、じゃあ今、章くんは…」
「私なんかより、料理に夢中ですよ?」
「はー!?……いや、でもまだ美香のことは好きなんだよな?」
「それは……どうなんでしょう。でも先輩とのことは、応援してくれてると思います」
「ああ、確かに……会いに行ったときそんな感じだったかも」
「それに……実はこの間電話があって、章くん、シェフの勧めで西洋料理を学びに留学するみたいなんです」
「え、料理修行ってこと?」
「はい。それくらい本当に夢中で」


