「そこであず先輩を1人にしていたら、もしかしたらそのほうが嫌な気持ちになってたかも、です…」
「…うん、そっか」
「……」
「美香」
「はい……」
「ほんと今更だけど…」
微かに力が込められていた手が、今度はしっかり握られる。
顔を上げたら、あの日飲み込んだであろう言葉が、先輩の口からたくさん出てきて…
「あのとき、俺も章くんと色々あって、嫉妬して、頭に血が上ってて……最悪な態度しか取れなくて、美香が1番不安なときに傍にいることも出来なくて…」
「、…」
「電話くれたのに……ほんとに、……ほんとにごめん…」
先輩の手が、震えてた。
ごめんって言う想いの分だけ、きっと今、震えているんだ…
「、…」
涙が溢れて、上手に声は出そうにない。
だけどここで口を閉ざしたら、また同じことになるから。
大丈夫、ぐちゃぐちゃな言葉でも、聞き取り辛い声でも、
それでも先輩は、ちゃんと聞いてくれる。


