「つーか俺、別に優しくねぇよ」
「え?」
立ったままでいる私の手を取って、先輩がソファーに誘導してくれる。
軽く向かい合うように座ったあと、両手は握るように掴まれた。
「俺、そんな優しい人間じゃないから」
「そう、ですか?」
「うん。でも美香にはなるべく優しくありたいと思ってる。…………嫌われたく、ないから」
「……」
先輩にしては弱気な発言に、少し驚く。
「…昔泣かせちゃった分、ずっと笑っててほしい」
「……」
「って、昨日早速泣かせちゃったけどな…」
責任は感じなくていい。
あの日伝えた言葉は、やっぱり先輩には届いていないことを知った。
だったら、私が今伝えることは…
「先輩、ごめんなさい。今更ですが、やっぱり謝ってください」
「え?」
きっと先輩と再会してすぐ、間違ったのは私のほうだ。
───“やだ、謝らないでください”
謝られて、そこで終わるのが怖かったから。
先輩の気持ちが解決して、私と先輩を繋ぐものが消えてしまうのが怖かったから。
私がいくら責任を感じなくていいって言ったって、そんなの自己満足にすぎないのに。
先輩自身の解決になんて、ひとつもならないのに。
それなのに、私は……


