少しの沈黙を挟んだあと、いちかさんはきっと涙を堪えて笑った。
「本当はね、最初からわかってたんだ。瞬くんに好きな人がいること」
「え?」
「見てればわかるよ。いつもずっと、誰かを想ってる顔してたから」
「いちか、」
「適わないもんね」
「…?」
「好きだったけど、大好きだったけど、これも全部わかってた。……瞬くんが美香ちゃんを想う気持ちには、適わないこと」
「、…」
「私じゃなくても、きっと誰も適わない」
「……うん」
「あはは、認めるんだ。べた惚れだね」
「だな…」
明るく振舞ういちかさんに、先輩も少し笑い返したあと……
「じゃあ、試験前なのにごめんね。聞いてくれてありがとう」って、いちかさんの声が聞こえた。


