「今日ずっと瞬くんの様子が変だったから……私のせいで、美香ちゃんと喧嘩になったのかもって……それでもういい加減、けじめをつけようと思ったんだ…」
「……」
「とっくに気づいてると思うけど……私、瞬くんのことがずっと好きだった」
物陰に隠れたまま、私は自分の足元を見た。
震えているいちかさんの声に、顔を上げていられなくて…
いちかさんの告白に、その震えに気づいているはずの先輩は、
それでもハッキリ、真っ直ぐ答えた。
「ごめん。いちかの気持ちには応えられない」
先輩の声が、夜の闇に吸い込まれるように消えていく。
「そ、っか…」
「ずっと気づいてたのに、近づけることも遠ざけることもしないで、最低だったよな。……ほんとごめん」
「ううん。だからこそ楽しい思い出がいっぱいできた」
私と先輩に思い出があるように、
いちかさんと先輩にだって、たくさんの思い出があるのは当たり前のこと。
ただそこにある事実として、当たり前のことなんだ。
「どうしても、美香ちゃんのことが好きなんだね…?」
「もしまた美香と離れることがあったとしても、それでもずっと好きだと思う…」
「…そっか」


