どうして気づかなかったんだろう。
どうしてわからなかったんだろう。
こんなにも簡単なことなのに。
『再会しないほうがよかった』なんて、先輩が思ってるはずない。
本当は何を思っているのか、
本当は何を考えていたのか、
いちかさんとのことを、これからどうしたいのか。
私はまだ何も、聞いていない。
章くんのことだって、きっと同じだ。
大事なことを、私は何ひとつ伝えていないから。
章くんは友達、いちかさんは友達。
お互い、そんなことを聞きたかったわけじゃないのに。
それなのに私たちは、ずっとそんな言葉足らずな中を歩いていたんだ……
・
・
・
「ハァ、……ハァ…」
先輩が住むマンションについたとき、時刻はもう21時を過ぎていた。
先輩と喧嘩した広場で、私の足が止まったのは…
「……話って?」
「うん、あのね…」
瞬先輩といちかさんが、2人でいたから。
咄嗟に建物の陰に隠れ、息を潜めた。
だって、雰囲気からわかってしまった。
いちかさんが、先輩に告白をするんだって…


