聞かれてすぐ、高校生の頃の気持ちを振り返ってみる。
想像していた彼女とは全然違って、先輩に『変な女』って言われるような人で。
女の子扱いされるのも、彼氏に守ってもらうのも嫌いな人で。
そんなあず先輩のことを、あの頃の私は…
私は……
「……なりたいって、思ってた」
「え?」
「私、あず先輩みたいな人になりたいって思ってた…」
───“私も、あず先輩みたいになりたい”
───“なんであずだよ”
「助けて」って泣かないような、「助けなんていらない」って言えるような。
誰かに支えてもらうんじゃなく、支えてあげられるような人間になりたいって、
私はそう思ってたんだ。
「もしかして、美香の中でその気持ちが成長したのかも」
「…成長?」
「支えてあげたいのは『誰か』じゃなくて、今まで支えてもらった人たちになった。だから“章くん禁止”が、ずっと引っかかってるんじゃない?」
「……」
にっしーの言葉が、ストンと胸に落ちた気がした。
瞬先輩、洋平先輩、ごっつ先輩、にっしー、めぐちゃん、直人くん。
そして、章くん。
今まで助けてくれたみんなに何かあったとき、私が力になってあげられるような、そんな人間に……
そんな大人に、私はなりたいんだ。


