忍び込んだ生徒会室の中には、先客が1人。


窓を開けて外を見ていたその人が、私に気付いて振り向いた。



「お、やっと2人目来た」



あ……



目が合うこの先輩を、私は知っている。


違う、きっとみんなが知っている。


だって有名だから、この先輩。



「えーと、なにさん?」

「七瀬、です」

「あー、書記ね」



窓に寄りかかって生徒会名簿を見た先輩は、私が書記であることを確認。


すぐに視線を上げたその先で、もう1度視線がぶつかった。



「会長の春田です。よろしく」

「よ、よろしくお願いしま、っす」

「しまっすって。はは、なんか緊張してる?」

「えっ」

「そんな緊張しなくても大丈夫だよ。怖い先輩とかいないから」

「……はい」

「つっても、そりゃ緊張するか」

「はい……」



正直、緊張どころの騒ぎじゃないけど……