「…動き出せば変わらない未来なんてない、か」



17時半。仕事帰りの道端で立ち止まる。

あの日の不穏な会話から、早1週間。

あれ以来、先輩と連絡は取っていない。


試験を受けるにしても、その前に関係が解消されたら意味がないのに…



「……会いに行ってみようかな」



動き出すことを決めた私は、家に向かっていた足をUターンさせて先輩の住む駅への地下鉄に乗った。


地下鉄に揺られながら考える。

会いに行って、なんて話をしよう。

章くんのことを話したとして、わかってもらえなかったらどうしよう。

更に不穏になって、こんなにすぐ別れることになったらどうしよう。


嫌なことばかりが頭に浮かんで、不安が尽きない。


怖い、けど。


大丈夫、頑張れ私。