「高校辞めたあと、どんな風に過ごしてたの?」
「……」
「どんな仕事して、どんな人と出会って、どんなこと考えて過ごしてた?」
「、…」
別に難しいことを聞かれているわけではないのに。
喉の奥でなにかが詰まっている気がして、うまく言葉が出てこない。
まるで出会ったばかりの頃、いつも喉元に何かが詰まる感じがしてた時みたいに、また……
「……書店で、働いて」
「うん」
「章くんとか、お店の人たちと一緒に……過ごしてました」
声が、全然思うように出てこない。
昔の私はもっと、緊張しながらもバカみたいに沢山喋ってた気がするんだけどな。
「新しく出会ったのは、職場の人くらいで…」
「…うん」
───“どんな仕事して、どんな人と出会って、どんなこと考えて過ごしてた?”
私は、どんなことを考えて過ごしていたんだろう……


