ああ、聞いてしまった、って。一層心臓がドクドクする。
だって、聞いたってことは答えを知らされるわけだから。
美香の現実を、知ることになるから……。
そう思って覚悟してたけど。
だけど“章くん”の表情はピクリとも変わらず……質問への答えも、すぐには返ってこなかった。
「まるで自分は被害者みたいな顔ですね」
「……」
「自分が1番傷ついたみたいなその顔、やっぱ気に食わないんですけど」
そりゃそうだ。
あの日の延長にいるこんな自分が気に食わないのは、俺も同じ。
だけどじゃあ、ここでどんな顔をすればいいのか。
他に相応しい顔なんて、俺には全然わからない。
「俺、先輩のこと嫌いなんすよ」
「……」
「みんなにチヤホヤされて、みんなに好かれて、学校の人気者で。そんな男が美香に近づいてんじゃねぇよ、って」
「……」
「まじで腹立って、まじでイラついて。……………ずっと、嫉妬してたんです」
「……え?」
予想外の言葉に視線を上げたら、“章くん”は俺を見ていなかった。
イライラしてるような、傷ついてるようなその顔は……なんとなく、俺自身に似てる気がした。


