「じゃあ私帰るからね」
「んー」
「明日寝過ごしそうだし、朝迎えに来るから」
「んー」
「なにかあったら連絡してね」
「、…」
聞こえた声に、閉じていた目が自然と開いた……
“なにかあったら連絡してね”
その言葉が、なにかを思い出させる言葉だったから。
悲しい、なにかを……
───“じゃあ、なんかあったらすぐ連絡してね”
───“はい、ありがとうございました”
それは昔、俺が言った言葉だ……
俺が昔、美香に……
「……、美香」
「え?」
なにかを、錯覚するように……
そこに、美香がいる気がして、
触れたくて、
触れたくて……
起き上がって手を伸ばして、暗闇の中、引き寄せるようにぎゅっと抱きしめた。
それがいちかだと、気づくことも出来ずに……
「………美香、」
「、…」
「……ごめん」
「、」
「あの日、ごめん、…」
───“なに。”
───“用がないなら切るよ。今立て込んでるから”
「電話、くれたのに……」


