「今日、放課後玄関集合な」

「え?」

「美〇ひばり、期待してっから。なに音頭だっけ?」

「あっ、有村音頭!」

「そうだ、それそれ」



喉の奥が、また詰まるから……それ以上は声が出なくて。



「じゃ、放課後な」


コクコク頷く私に笑って、瞬先輩は友達たちと行ってしまった。



「……」


気づいたら、手に持っている教科書を強くぎゅっと握っていて……


なんでだろう。

先輩と話すときは、ほんとにいつも、手に力が入る。









「よーし、歌うぞー!」


放課後、生徒会の5人で来たカラオケボックス。

いかにも張り切りそうな洋平先輩は、全然イスに座らない。

さっきからずっとテレビの前に立ったまま、私はそれをぼぉっと見上げている。

だって瞬先輩が正面に座っているから、なんだか前を向きにくい。