「七瀬!」
瞬先輩の声が聞こえたのは、電話を切って3分ぐらいが経った頃だった。
真横で止まった自転車の音に、しゃがみ込んだまま顔を上げたら……
薄暗くなった視界の中に、瞬先輩の姿が映った。
「七瀬、」
「、」
「……」
「、……ッ、…、」
先輩の顔を見ただけで、涙の量が倍になる。
ねぇ私、ちゃんと分かってるよ……
高校生の先輩に、助けてなんて言うのは酷すぎるって分かってる。
親に守られなきゃ生きてもいけない私たちは、やっぱりまだまだ子供だから。
私も先輩も、自分たちでなんでも出来る大人じゃないって分かってる。
分かってるのに……
助けてってすがれる大人が、浮かばないから……
誰1人も、浮かばないから。
高校生なのに、
無理なのに、
瞬先輩に助けてって、すがりつくしかないんだよ……


