『もしもし、七瀬?ごめん、自転車乗ってて気づくの遅れた』
「、…、、」
やっと、出てくれた。
瞬先輩の、声だ……
「、、…ッ、…しゅん、せんぱい、」
『七瀬、?』
「、…帰る場所、…ッ、…ない、」
『え?』
「も、やだ……、私、…どこに帰れば、いいの、」
声が、気持ち悪いくらいに震えてて。
体は、しゃがみ込んだまま起き上がれない。
もう、親のことでは泣かないって決めたのに。
いつまでも子供みたいに泣かないって、決めたのに……
『七瀬、今どこにいんの?』
どこって言われて見渡してみたら、まだ家の近くの見慣れた場所だった。
「橋の横の、…ッ、歩道、」
『すぐ行くから、そこから動くなよっ、絶対動くなよ』


