「あの、瞬先輩」
後ろから、先輩に聞こえるように尋ねる。
「んー?」
前を向いたままの先輩が、聞き返してくる。
「あの、…よく、乗せるんですか?」
「え、なにを?」
「……女の子、ここに」
さっき廊下で先輩に声を掛けてきた生徒の中に、「今度の日曜さー」って、瞬先輩と何か約束をしている女子生徒がいたから。
別に私には関係ないし……気にするような立場でもないけど。
ここに乗ったことのある女の子の数で、私の中のこの時間も、重みを変える気がして。
できれば……あず先輩だけがいい。
ここに乗った女の子は、少なければ少ないほど、いい。
「………」
先輩がしばらく何も答えないのは……聞こえなかったから?
それとも、答えにくいから…?
どうしよう、もしかしたら、数え切れないくらい乗せてるのかも。
「あの、変なこと聞いてごめんなさ、」
「七瀬が初めてかも」
「、…」
私が、初めて?
「思い出してみたらさー、あず乗せたこと1回もねぇの。あいつバス通だし、そもそも男の後ろに乗るような性格じゃねーし」
「……」
「だから七瀬が初めてです」
なにそれ、ズルイ……
そんなの、ズルイ。


