「あ、でも。機嫌悪くなった瞬先輩も、……ちょっと、嬉しかったです」
初詣の日、あず先輩にだけは不機嫌な顔を見せるんだって。
それが彼女の特権なのかなって、思ってた。
でも、彼女じゃないのに見ることが出来た、瞬先輩のそんな一面。
不機嫌な顔が見れて得した気分になっている私は……おかしい?
「なぁ七瀬。やっぱ返事、」
「やだ!聞かない!怖い!」
私の反応を見てからかっているだけの気もするけど、返事を聞くのがほんとに怖くて、もう1度両手で耳を塞いで背中を向けた。
絶対聞かない。
もうずっと、耳は塞いだままでいる!
……はずだったのに。
後ろから掴まれた両手首は、あっけなく耳から離されて。
振り向いたら、手首を掴む先輩がすぐ後ろに立っていた……
「七瀬ー」
え、なに……
怖い、なに……
返事なら、聞きたくない……
「今日の生徒会、2人でサボろっか」


