泣きたいのを我慢するために、眉間にシワが寄っている。
好きな人の前で、こんな可愛くないぎゅーっとした顔、見られたくない。
でも今は、こんな状況で、先輩の前で泣くことのほうがダメな気がして……
可愛くない顔でも、我慢しなくちゃ……
「え、七瀬今のって」
「?」
「……告白?」
「は、」
「え、俺今、七瀬にコクられた?」
頭の中で、先輩に伝えた言葉たちを振り返ってみる……
告白めいたことを、言っていた……かもしれない、けど。
「ち、ちがう!」
「え、違うの?」
「勘違いしないでください!私瞬先輩にまだ好きって言ってない!告白なんてしてない!」
「え、そう?でも遠回しに好きって言われた気が、」
「やだ、待って!返事とか言わないで下さい、ダメ、絶対言わないで!」
「あー、返事、」
「言わないで!やだやだ聞きたくない聞こえない!」
耳を塞いで「あーあー」って言って、なにも聞こえないようにする。
そんな私の変な行動を見た先輩が、いつもみたいに笑い出した。
笑う先輩が見えたと同時に、「あ、嬉しいな」って、そう思う自分に気がついた。
そうしたら、耳を塞いでいた手は、自然に離れて……


