「なに?変なことって」
先輩の顔が上がって、視線がこっちを向いたから……聞き辛い、けど。
聞き辛いより、聞きたいのほうが勝ってるから。
だから……
「あず先輩と……別れたって」
「……」
「……ほんと、デスカ」
聞いてしまった。
本当に、聞いてしまった。
「………」
無言の中、答えを求めるように先輩を見たら……
先輩は目を逸らすように視線を伏せて、プリントを見ながら答えてくれた。
「ほんとだけど」
「、」
ほんと、だった。
ほんとに、ほんとだった……
先輩にはもう、彼女はいない。
「いつ、」
「2週間くらい前」
そんなに、前?
全然、知らなかった。
別に、そんなことを報告し合う関係じゃないから……知らなくて当たり前なんだけど。
でも、そんな前……
「あの、」
「嬉しい?」
「え?」
「俺とあずが別れて、心ん中で笑ってんの?」


