ガラガラ、
生徒会室のドアの向こうに、視線を伏せて体育祭のプリントを読む瞬先輩がいた。
ドアが開いた音で、先輩の視線は簡単に上がったけど……
「おっ、七瀬」
「、」
先輩が、あんまりにもいつも通りに笑うから……
やっぱり直人くんの勘違いなんじゃないかって、思っちゃう。
「あの」
「んー?」
あっけなくプリントに戻って行った視線だけど、そのほうがいい。
そのほうが……こっちを見ないでいてくれたほうが、聞きやすい。
「……変なこと、聞いてもいいですか」
ドアの前に立ったまま、両手をギュッと握る。
別に告白するわけじゃあるまいし、なにも緊張することはない。
だから全然大丈夫だよって、自分に言い聞かせるみたいに、ギュッと握る……
もし、別れてなかったら……また、今までと同じ日常が戻るだけ。
もし、別れてたら……
別れてたら…?
別れてたら、私はどうする…?


