「珍しくね?瞬ちゃんがこんな長いことウダウダと」
「………」
「なに、もしかして美香とあず先輩、どっち取るかでウダウダ悩んでんの?」
もういい加減、答えは出てるのかと思ってたのに。
「……違ぇよ。七瀬は関係ない」
「え」
は?関係ない?
「これは俺とあずの問題だから。あいつはなんも関係ねぇよ」
「え、待って、じゃあ瞬ちゃんは何に悩んでんの?あず先輩と美香、どっちにするかじゃないの?」
イチゴオレを飲むのをやめて、俺は瞬ちゃんの顔を真剣に見た。
「あずと俺は、違いすぎるんだよ。性格も価値観も。全然違う」
「そうだけど…」
性格が違うのは、そりゃわかるけど。
でもそんなの、ずっと前からわかってたことじゃん。
「ずーっと考えてたんだ。価値観が違う2人は、どうやったらうまくいくのかって」
「………」
「ほんとにずっと。かなり前から、ずっと」
瞬ちゃんが言う「ずっと」は、ほんとにずっと。
つい最近、ケンカしたから考え始めたわけじゃなくて……ほんとに、ずっと?
それを俺は、知らなかった。
だってケンカするまでは、仲良く見えてたから。
うまくいってる普通のカップルに見えてたから。
「どっちかが歩み寄るしかねぇんだよな、やっぱ」


