翌日は、入学式が行われた。
卒業式同様に受付を頼まれた私とにっしーは、玄関前でひたすら待機。
続々と入ってくる新入生とその親に、入学式のしおりを配っていく。
それを終えてすぐ、瞬先輩に呼ばれて私は別の手伝いに向かった。
「はぁ……」
「なにため息吐いてんの」
「あ……思わず」
「そーいや七瀬、クラス替え何組だったの?」
「2年6組です」
「お、じゃあ俺が窓から下見て、七瀬が窓から上見たら会えるな」
「なんですかその会い方」
「いーじゃん、ちょっと面白くね?今度やってみよーぜ」
「嫌です」
頼まれたのは、新入生が割るくす玉の補強。
毎年入学式の為に生徒会が作るくす玉は、旭ヶ丘高校入学式の名物企画となっている。
舞台裏でくす玉の最終チェックをしながら、私は無意識に何度もため息を繰り返していた。
「なに、まじでなんかあった?」
「え?」
「ため息。クラス替え、友達いなかったとか?」
「……そうなんです。友達、章くんしかいなくて」
「は?てことは“章くん”と3年間同じクラスってことじゃん」
「あ、…中学もずっと同じだったから、全部で6年間です」
「……へー、中学も。」