「しないしっ、1人でしてください!」
「いいじゃん、10分くらい」
「いやです!あっち行ってください!なんでついてくるんですか!」
「なんで怒ってんだよ」
「怒ってない!」
なんで……
なんでついてくるの!
恥ずかしいからもうあっち行ってよ!
「なぁ七瀬ー」
私の声なんて全部無視で、瞬先輩がいつまでも1歩後ろをついてくる。
勘違いしたことが恥ずかしくて、私は一刻も早く1人になりたいのに……
「俺さー、やっぱちょっと読んでみたいかもしんねぇ」
「なにをですか」
「七瀬が書いたラブレター」
「……」
聞こえた声に、思わず足が止まったけど、
1歩後ろを振り向く勇気は、どこにもない。
「だって俺、学校にいても家帰っても、そのことばっか考えてんだもん」
「、…」
「……他に考えなきゃいけないこと、もっとあるはずなんだけどな」
振り向けないまま、聞こえる声に……
心臓が、騒ぎ出す。
「あー……じゃあ俺ちょっと、学食行って休憩してくるわ」
1歩後ろにいた先輩の気配が、足音と一緒にどんどん遠くなっていく……
私はいつまでも振り向けないまま、
ただそこで、足音が聞こえなくなるのを待っていた……


