「あの、」
「ごめん、俺もう行くわ」
「えっ」
「打ち合わせ、勝手に抜けてきたからそろそろ戻んねーと。んじゃ、続き頑張って」
よっ、て立ち上がった先輩が、背中を向けて歩き出す。
後ろ姿ならなんの恥ずかしさもなく見ていられるから、じっと目で追って見送っていく。
行っちゃう。
出て行っちゃう。
あとちょっとで、生徒会室から出て行っちゃう。
最後の最後まで目を凝らしてじーーっと背中を見ていたら……
ドアを開けた先輩が、出て行く直前、
急に立ち止まって、振り向いた……
なんの、笑みなのか……
少しだけ笑った瞬先輩はなにも言わず、そのまま生徒会室を出て行った。
「うぅ……」
心臓がぎゅーーってなって苦しくて、悶えるように目を閉じて色んな感情に必死で耐える。
ドキドキする音が全然消えてくれなくて、緊張した体も固まったままで……
まだここに、先輩がいるみたいに落ち着かない。
「、…」
ふぅーって息を吐きながら、目を開ける。
少しだけぼやけた視界の中に、桜の花が浮かんで見えた。
桜の花が、ぼやけてハートみたいに見える。
ピンク色の、ハート……
ねぇ瞬先輩、
迷うって……なにをですか?
断り方ですか?
断る理由ですか?
それとも、もしかして……なんて。
「もしかして」を考えてるのは、やっぱり私だけですか…?
ドキドキハラハラしているのは、私だけなのかな……


