どうしているの？ねぇ、先輩…

「あいつ、変な女だろ？」


前にも「変な女」って、瞬先輩はあず先輩のことを言っていた。

私にはその意味がよくわからなかったけど、今日やっと、先輩が言う「変な女」の意味がわかった気がした。


「父親、いないんだよね」

「え？」

「小さい頃、出てったんだって」

「……そう、なんだ」

「母親が１人であずのこと育ててるんだけど、そういうのもあってなんだと思う。男に頼って生きたくないって、頑なに思ってるの」

「、…」

「そういうとこわかってんのにさ……俺がガキすぎんのかな。あずの気持ち、全然理解できねぇの。歩み寄る気持ちになれねぇの」


歩み寄る気持ちになれない。

そう話す先輩の横を歩きながら、私は全く別のことを考えていた。

あず先輩と自分を比べて……すごく恥ずかしくなっていた。


父親がいない。

あず先輩も、親に振り回されて育ったんだとしたら。

私と同じように、嫌な思いを沢山してきたんだとしたら。


どうして……

同じような思いをしてきたはずなのに……どうしてこんなに違うんだろう？

あず先輩は、あんなにしっかり自分の意志があるのに。

それに比べて私はいつだって、誰かに「助けてほしい」って、泣いてばっかり。



「……私、どうしたらあず先輩みたいになれますか？」

「え？」



どうしたら私は、もっと大人になれるんだろう。



「私も、あず先輩みたいになりたい……」



「助けて」って泣かないような、「助けなんていらない」って言えるような。

あず先輩みたいな、強さがほしい。