「どうでしょう?」

「美香っぽい」

「なにそれ」

「いや、普通に美香っぽい柄だなと思って」


「普通に美香っぽい」の言葉じゃ、褒められているのか分からない。

でもほんとに可愛い柄で嬉しいから、似合わなくてもいいやって思った。


だから章くんにもう1度ありがとうを伝えようとしたとき。

廊下に突然、女子たちの黄色い声が響いた。


「きゃー!春田先輩!」

「え、なに、どこ!?」

「なんで?なんでこんなとこに!?」


え、1年の階に瞬先輩?なんで?って、考えるより先に振り向く。


振り向いてドアの奥の廊下を見てたら、騒ぐ女子たちの間を抜けて……



「いたいた、七瀬ー」



瞬先輩の足が、1年1組のドアのところに立った。


こっちを見る先輩と、目が合っている。


先輩がちょいちょいって手招きして私を呼ぶから……

だから私はすぐに立ち上がり、先輩の元へ向かった。


「な、なんでしょうか」

「いや、直人んとこ行ってきたついでに寄ってみただけ。1年の階久しぶりに来たらテンション上がんな!」


寄ってみただけ、って……用事はないってこと?


「あれ、また風邪引いた?」

「え?」