3人が部屋の中に入ったら、狭い部屋がより一層狭くなった。
「座りますか?」って、ごっつ先輩たちにベッドを譲ろうとしたけど。
「すぐ行くからいいよ」って、先輩たちは部屋の中で立ちっぱなし。
「今、イズミンがあの野郎と話してるわ」
そう切り出したのは、洋平先輩だ。
「大ごとになってんの?」
「わかんね。多分経緯を聞いてる感じだと思うけど」
「そっか」
「イズミン、あの野郎にキレて二次災害になってなきゃいいけどね」
「あー、ありえるなそれ」
「元ヤンだっけ?あ、元レディースか?」
大ごとに、なるのかな……
やだな、あんまり大ごとにしたくない。
だって、面倒なことになったら、お母さんに余計鬱陶しがられる……
「つーか美香ちゃん……泣いた?」
「え、」
「目、赤い」
言いながら、洋平先輩が顔を覗き込んできた。
「あ、これは……」
「そっか、そうだよな、暗い中1人で怖かったよな。かわいそうに……」
「いや、これは全然違う理由で」
確かに怖かったけど。
雨の中での出来事は、泣く余裕もないくらいの恐怖だったから。
だから泣いたのは、全然違う理由。
瞬先輩に家族の話をして、涙が止まらなくなっただけ。


