「イズミン、もっと温度上げれない?七瀬、すげぇ手冷たい」
「待って、今上げたから」
一緒に後ろの席に乗ってくれた瞬先輩が、ガタガタと震える手をずっと握っていてくれる。
それでも寒くて、服が冷たくて、寒くて……
震えが……止まらない。
ポタポタと、髪から雫が落ちていく。
服に沁みこんだ水が、イズミンの車をビショビショにしていく。
「、…」
寒くて冷たくて、全然なにも感じられない。
握ってくれる先輩の手の体温も感じないくらい、震えが止まらない。
「七瀬、その上着脱いで」
水が沁みて重くなっているジャケットを、言われる通り震えながらどうにか脱いだ。
脱いだら寒くて、余計震えそうになったけど。
瞬先輩が、着ていたパーカーを私の肩に掛けてくれたからさっきよりずっと温かい。
「ごめん、あんま意味ないかもだけど」
そう言いながら、もう1度手が握られる。
やっと……
やっと先輩の体温を感じることができた。


