「……、…」
雨足が強くなってきて、髪も服もずぶ濡れ状態。
手だってもう、ふやけてて……
寒くて、震えて……
怖くて、
怖くて……
しゃがみ込んだまま、目を閉じた。
死ぬのかもしれないって、
初めて本気で思った、そのとき。
雨音の中に、なにか違う音が聞こえた気がして目を開ける。
ハッとして振り向いたら、車のライトが光って見えて……
私の数メートル後ろに停まった車のドアが、バン!って開く音が雨の中に響いた。
「、…七瀬っ!」
「、」
雨の中に光る車のヘッドライトの向こうから、瞬先輩の声が聞こえた気がして……
「、…しゅん、せんぱ、……」
ずぶ濡れで、寒くて、震えながら立ち上がった私の体は……
走ってきた先輩の、その勢いのまま、
きつく、ぎゅっと抱きしめられた。
「、にやってんだよ!」
「、…」
冷えきった体はガタガタと大きく震えていて、まだ、怖くて……
先輩に抱きしめられている感覚も、ないまま。
雨がただ、私と先輩の体に容赦なく降り続ける。
「春田!早く車乗って!」
瞬先輩に支えられて、フラフラしたまま車に乗り込んだ。


