「あん?見てないけど。なに、どうしたの?」
「いや……」
「あの、七瀬さんならさっき、うちの学校の先生と一緒にいるとこ見たよ」
声を掛けてきたのは、田中くんの学校の生徒だ。
「うちの学校のって……あのむかつく野郎か!え、ちょ、春田、それやばくね?」
「美香と一緒にって、なんで……」
「ん、なに?むかつく野郎って誰よ」
「………」
「ちょっと、春田?」
・
・
・
「、……」
どうしよう。
スマホも置いてきちゃったし、ほんとにどうしよう。
手探りで歩いてみる?
ううん、こんなに真っ暗な中、絶対に無理……
そもそも視界には黒以外のなにも映ってないし、曲がって来た道だって、とてもじゃないけど見えるわけない。
車が通ってくれればいいけど、今のところここを通った車はゼロだし……。
「、…」
怖い……
ほんとに怖い……
怖くて、体が震えてきた。
このままみんなのところに戻れなかったら、私、どうなっちゃうんだろう。
朝までここで待ってなきゃいけないの?
こんなに空気が冷えてるのに、この寒い中、耐えられる……?
そんな私に追い討ちをかけるように、空から雫が落ちてきた。


