「……なんですか?」
あんまり関わりたくないから、距離を取ったまま聞いたら……
先生が焦るように、口を開いた。
「ごめん、急で申し訳ないんだけど」
「?」
「熱を出した生徒がいて、薬がなくて緊急事態なんだ」
「えっ」
「申し訳ないんだけど、すぐそこに薬局があるから買ってきてくれないかな」
「私が、ですか?」
「ごめん、ほんと急いでて」
先生が、あまりにも切羽詰まった顔をしていて……
断るなんて、出来るはずなかった。
「わかりました、行ってきます」
「ありがとう。これ、薬局の場所と薬代ね」
受け取ったのは、紙に書かれた薬局までの地図。
手書きの雑な地図で、距離感がよくわからないけど……とにかく急いで買いに行かないと。
「なるべく急いでもらえると助かる」
先生が急かす口調で言うから、私はすぐに足を進めた。
それでもやっぱり1人は不安で、誰かを誘って行こうかなって会場を見渡してみる。
だけど洋平先輩と瞬先輩は、田中くんたちと楽しそうに話しているし……にっしーはごっつ先輩といい感じだ。
ダメだ、やっぱり1人で行こう……。
こうして私は、陽が暮れた土地勘のない道を1人で歩き出した。


