「さっきの袋、あんじゃん?」
「袋?」
「これ、野菜入れてた袋」
先輩が濡れた手で指さしたのは、私たちが二人で持ってきたビニール袋だ。
「もしこれをさっき『ぜってぇ俺が持つ!』って言い張ってたら、俺に持たせてくれた?」
「……」
え、なにその質問。
なんでそんなこと聞くの?
「それともなにがなんでも持たせなかった?七瀬なら、どうしてた?」
よくわからないけど……私、なら。
「私、そんなにか弱くないから、あのくらいなら持てます、けど……」
「うん」
「でも瞬先輩がどうしても持ちたいなら……持ってもらう、かな」
もしかして、袋、そんなに持ちたかったのかな、って。
あの袋、なにがなんでも持ちたかったって文句を言われてるのかなって。
でも、なんであんな袋を持ちたいの?って。
謎は、深まるばかり。
「そっか」
私の答えに、先輩はどうしてか嬉しそうに笑いながら続きの野菜を洗いだす。
私は、今の質問の真意が掴めなくて、ただモヤモヤっとするばかりだった。


