「七瀬ーー!」
学校前の通学路を走っていたら、後ろから声が聞こえた。
足を止めて振り向くと、瞬先輩が自転車に乗って走ってくるのが見える。
「おはよ」
「おは、ざいま……」
ずっと走っていたせいで、息が荒くて……挨拶も、うまくできない。
「なに、なんで走ってたの」
「……あはは、なんででしょ」
笑って誤魔化してみるけど……苦しくて。
走ったせいじゃなくて……現実が苦しくて。
だって私、捨てられるかもしれない。
お父さんとお母さんは、きっと離婚する。
でも、2人共私のことなんていらない。
そしたら高校を辞めて、私は1人で……生きて、
「七瀬、ちょっと顔上げて」
「、…」
必死に、
必死に泣くのを我慢して、顔を上げたら……
「誕生日、おめでとう」
「…、…」
泣いちゃダメ。
学校はすぐそこだし、目の腫れを治す時間は、もうないから。
だから泣いたら、ダメなのに……


