「君は運命の相手じゃない」と捨てられました。

どうしてよ。

何でみんなセイレーンの味方をするの。

みんな、まるで私が悪者みたいに。

きっとみんな嫉妬しているんだわ。

私が『番』に出会えたから。

人間にはお伽噺として通っているし、獣人も会うことはまずないと、渇望しながらも諦めている。そんな存在に出会えた私たちが羨ましくて仕方がないんだ。

私は真っ直ぐディアモンの教室に駆け込み、今あったことを話した。

たくさんの視線が私に突き刺さるけど気にしない。

ディアモンの『番』として私が注目を浴びるのは仕方のないことだから。

みんなを惹き付けてしまうのは私の長所。今に始まったことではない。

そんなことよりも重要なのはセイレーンだ。

図に乗る前に何とかしないと。

ディアモンは当然、私の味方をしてくれるよね。

だから私は全て話したのにディアモンは動いてくれない。何で。それどころか・・・・。

「また、セイレーンに迷惑をかけたの?」

なんて聞いてくる始末。もう訳わかんない。

「どうしてディアモンはミアの味方をしてくれないの?ディアモンはミアの番でしょ。ミアのこと、愛してないの?」

「愛してるよ」

「だったら」

ディアモンはミアの言葉を遮るようなため息をつく。まるで私の相手をするのに疲れたとでも言うように。

「ミアにとって『愛』って何?『番』って何?ミアの話を聞いていると時折自分が都合の良い道具にでもなった気分になるよ。君は本当に俺の事を愛してるの?」

「何言ってるの?ミアたちは番なんだよ。だからディアモンはミアを選んでくれたんでしょ。アイツじゃなくてミアを!」

「・・・・そうだね」

まるでセイレーンに負けた気分だった。

どうしてディアモンはミアを選んでくれないの?

ミアはディアモンの番なのに。

「ディアモンこそ、ミアのことを本当に愛してるの?ミア、知ってるよ。ディアモンはいつもセイレーンのことを見てる。ディアモンの番はミアなのに、ディアモンは心の底ではセイレーンを愛してるんだ」

言葉が止まらなかった。

目に涙が溜まる。これは悲しみか?怒りか?分からない。何もかもごちゃ混ぜになって、どうしていいか分からない。

番を見つけた瞬間、嬉しかった。

だって絶対に有り得ないことだったから。

だから自分は特別なんだと思った。選ばれた存在だと思った。

小さい頃、番の物語の話をしてもらったことがある。

番を持っただけで獣人は無条件で幸せになれるのだと思っていた。

「ディアモンはセイレーンと婚約破棄したことを後悔してるんだ」

否定して欲しかった。

ミアだけだよと言って欲しかった。

抱きしめて欲しかった。

でもディアモンは私の願いを叶えてはくれなかった。

否定も肯定もしない。

ただ一言、「分からない」と言った。

「っ」

何それ。何それ。何それ。何それ。何よ!何で否定しないの!何で!

「もう知らない!」

私は教室を飛び出し、学校を飛び出し、感情のまま走り続けた。

ディアモンは追いかけて来てはくれなかった。