やわらかな檻

 愛しげに目を細め、微笑む表情が陽子さま――慧の育ての親である方に似ていて。

 何故だろうと思えば、そうだ。
 家から出られないその境遇がまるで昔の。


「私が、その子の家にお送りしてはいけませんか?」


 出来ることならその子にシオンの花束を渡してあげたかった。

 年に一度贈られる花束がどれほど単調な生活に彩りを添えるのか、想像が出来るから苦しくなる。


「もう良いのよ。それに」

 言いかけた小母様は大きく目を見開き、慌てたように胸の前で手を合わせた。

「っ、ごめんなさい! 愚痴を言うつもりじゃなかったのに」