やわらかな檻

 可愛く微笑めば大抵のワガママを許されてしまい、かつ憎めないし嫌うことが出来ない砂糖菓子みたいな人種。

 これ以上逆らっても仕方ないので、私は溜息をついて話題を変えた。


「花売りには何を目当てにいらっしゃったんですか?」

「花束よ、シオンの花束。……あ、中庭で野点もやっているのね。一緒に行かない?」

 開いているページはちょうど文化部の出し物紹介だった。

 野点、というと茶道部か。


『ではシオンの花束を買ってきて下さい。約束ですよ』


 ……嫌なことを思い出した。