やわらかな檻

 薄っすらとした化粧と落ち着いたシンプルなデザインの衣服。

 髪を染め、あんなに派手に振舞っていた学生時代の彼女からは考えられない。

 嬉しそうに微笑む母子は、まるで絵画の一場面のようだった。


「ほら、ケイお姉ちゃんだよー」


 友人に抱かれた幼子は無邪気に笑っている。

 ぷくぷくとしたほっぺ、まつげはくるんと上向きにカールしていて可愛らしい。

 腕は柔らかく、ぎゅっと握ればすぐに壊れてしまいそうなほどに細い。


 彼女の娘は初めて会う私や慧にも臆することなく上機嫌に微笑み、小さく滑らかな手を伸ばす。