やわらかな檻

 どうやら私は、思っていた以上にきついまなざしを向けていたようだ。


「仕方ないわね。大丈夫、元気よ」
「――そうか」

 
 まるで自分に納得させるように、小さく呟かれた言葉とは裏腹。彼は心配そうに私を見やり、ぎこちなく手を伸ばしてくる。

 そっと優しい動作で、髪に触れられる懐かしい感触。抵抗はしない。


「噂は聞いてる。さやがこうして」
「言わないで」
「でも」


 私は逃げるように彼から一歩離れた。