やわらかな檻

 そう、私のせいじゃない。

 責任の百分の一くらいは可愛い甥のために背負ってあげても構わないけれど、基本はあくまでも連絡をしてこなかった匠がいけないの。

 小夜さんから貰った花束を届けようと母屋に来れば、もう既に花束が――しかも全種類用意されていて。

 売り子さんが言ってたから、驚きが少なくて済んだだけなのよ。

 嫌な予感って当たるものね。


「そうだね、大人しくアメリカにいてくれればこんな事態にならなかったのに。余計なことをするから三人分もかちあったんじゃないか」


 一つは慧が小夜さんにお願いしていたという分。

 もう一つは私が十年以上前から弟思いなこの甥に毎年依頼されていた分、そして最後に今回初めて匠自身が買いに行った分。

 アメリカにいるから今年は無理だと思っていた?

 そんなの言い訳にしかならないわ。